従業員の業務上の又は通勤による死傷病を保護するための保険が労働者災害補償保険、いわゆる労災保険です。
また、従業員が失業した場合や、出産や高齢など雇用の継続が困難な場合に必要な給付を行うことを主な目的とするのが雇用保険です。
この2つの保険を総称して労働保険と呼んでいます。
労働保険は労働者を一人でも雇っていれば、加入義務があります。(国の直営事業・官公署の事業・一部の農林水産業の事業を除く)
労災保険は、原則として労働者を一人でも使用していれば、労災保険に加入している加入していないにかかわらず、法律上当然に適用するとされています。したがって、貴社のように労災保険に未加入であっても、労働者は労災保険の給付を受けることができます。
それでは、被災労働者が労働基準監督署に労災給付の申請を行い、監督署が給付を行った場合はどうなるのでしょう。この場合は、まず未手続期間の保険料を2年間に遡って徴収されます。他に、次のようなペナルティがあります。
労働基準監督署から労災保険加入の指導を受けていたにも拘らず、加入しなかった場合の労働災害および通勤災害
...労働者に支払われた保険給付の全額(注)を事業主から徴収
(例えば賃金日額1万円の従業員が、労災事故で死亡した場合は1,000万円の遺族補償一時金が支払われ、この全額が事業主から徴収されます。)
労働基準監督署から指導を受ける前の、未加入中の労働災害および通勤災害
…労働者に支払われた保険給付の4割(注)を事業主から徴収
労災保険の未加入は自賠責保険に未加入のまま車を運転するようなものです。
もしも事故が起こったら、御社は大丈夫ですか?
最近では、雇用保険の未加入トラブルが増加しているのをご存知でしょうか。
会社が、雇用保険への加入義務があるにも関わらず、雇用保険へ加入させないことにより、本来、失業時に受け取れるはずの手当を受給できないことに起因するトラブルです。
実際のトラブルは、退職者が出たときに起こります。
会社が手続しているかいないかにかかわらず。一定の要件を満たせば、従業員は当然に雇用保険の被保険者です。
もらえるべき失業保険がもらえないとなると、損害賠償請求をされるケースもあります。
退職した社員が本来受給できる失業保険を請求してきた。なんていうことはないでしょうか?